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職人さん。

あんたがやれっていったんだろ!

これは映画アウトレイジの劇中セリフである。
数年前。まだ、この世界の酸いも甘いもわからなかった時。
(今もまだまだ、予測不能なことが多い。というか、そればかり。)
当時の職場で、デザインが確定した名札製作を外注依頼。

仕様を記載し、オープン日に間に合うかどうかの確認を依頼先に取る。
「間に合います。」とのこと。上司、クライアントの方に伝える。入稿。
入稿翌日。「やはり、その仕様だと間に合いません。」との連絡が。

をぉーーーーー!と思いながら、上司に相談。
それは向こうが間に合うっていったんだから、間に合わせてもらわなきゃ。
なんとしてでも!かなり強めに言った方がいいよ。

すぐに電話。
相手は、営業の方ではない。実際に製作する職人さんだ。
となりに上司がいる中で強めに言う。
お願いしますよ!間に合うって言ったじゃないですか!!

翌日、職人さんから一通のメールが。
「今回の件は間に合わせます。ただ、もうお宅とは一切、取引しません。」
をぉーーーーー!と思いながら、また同じ上司に相談。
なんでそんなに強く言ったんだ!相手は職人さんだぞ!!

あんたがやれっていったんだろ!

当時はそんな風に感じていましたが、これはとてもいい経験でした。
現在、印刷会社やグッズ製作等の職人さんとやり取りする時は、まずリスペクト。
なにが起きても。

仕様と違う校正があがってきても、リスペクト。
怒ったり、強く出ることは目的じゃない。
共に良いものをつくること。
お互い、気持ちよく仕事をすること。

アウトレイジのセリフを聞く度、思い返す。
とても大切なことがあるのだ。

 
 

本日のアトオシとは
「ロゴマークを軸とした展開。」が特長のグラフィックデザイナー永井弘人による、「日常とデザインを拡げる雑文集。」日本タイポグラフィ協会正会員。年鑑ベストワーク賞受賞。著書「デザイナーになる。」(MdN)執筆・出版。
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