menu

弁当に包む。

母校である専門学校の文化祭があったので、印刷会社さんへの挨拶前に立ち寄る。

プレゼンテーション大会が行われていた。
「colors」という共通テーマにて、作品をつくり、クラスから代表1名が抜擢される。
抜擢された者が、学科(グラフィック科とかインテリア科とか)を超えたプレゼン大会を行う。というもの。

アート科学生の作品。
「お母さんの「心」を、お母さんがつくってくれるお弁当に置き換え、カラフルに表現しました。」
やわらかなフェルトでつくられた、おにぎりやおかずは実に可愛らしい。印象は悪くない。
しかし。何かが足りない。

「この作品に対し、何かご意見のある先生はいらっしゃいますか?」
進行役スタッフが言う。

審査員でもあるプロダクト科の先生(ご年配の方です)がスッと手を挙げる。

「僕が中学生のぐらいの時、周りも含め、裕福な家庭って全くなくてね。
育ち盛りなんだけど、ご飯を目一杯食べることなんてできなかったんだ。

今でも印象に残っている弁当がある。仲のよかったやつの弁当だ。
フタをあけると、こうピンポン玉より少し小さい芋。芋がね、七個だよ。
それ以外は何も入っていない。でもね。弁当箱の中にちゃんと入っているんだ。

そこに、なんだろ、お母さんの『心』ってのが表現されていると思うんだ。
芋七個の弁当に。そういう表現も『心』だよね。」

…まさかこの場でこんないい話しを聞けるとは思ってもいなかった。
一人、静かな感動を覚えていた。

私の印象に残る弁当といえば、
セブンイレブンバイト時代、良く食べていた、廃棄の「炭火焼牛カルビ弁当」。
その中には、肉の旨味を引き立たせる「タレ(心)」が包まれている。
コンビニ弁当なんだけど、全く飽きないんだ。あれ。悔しいけど。
 

本日のアトオシとは
「ロゴマークを軸とした展開。」が特長のグラフィックデザイナー永井弘人による、「日常とデザインを拡げる雑文集。」日本タイポグラフィ協会正会員。年鑑ベストワーク賞受賞。著書「デザイナーになる。」(MdN)執筆・出版。
カテゴリ 更新企画
リンク
本日のアトオシを共有してみる
カテゴリ 終了企画
アーカイブ