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新宿のチュッパチャプス。

新宿。大学生の頃。

同じサークルの先輩・同期と自分を含めた3人で、
後輩の女の子がバイトをしているミスタードーナツへ冷やかし半分にいったが、
出勤予定と聞いていたその本人はいなかった。

本人が出てくるまで、店前で男3人待機としていたのだけれど、
ひょっとしたら自分たちが大分気持ち悪い行動をしているのでは…と思い始め、その場を去る。

近くのゲームセンター、お菓子を取るゲームにて3本のチュッパチャプスを獲得。
普段は食べることのないチュッパチャプスを、口の中で転がしながら、
「30分おまかせキャンディー、とかいってるけどそんなに持ちませんよね(笑)!」
という、今考えるとかなり痛い会話をしながら、アルタ近くの交番を通り過ぎようとした時、

「ちょっと君たち!待ちなさい!!」

振り返るとお巡りさんが、怒りながらも、見ぃ〜つけた的な感じで近づいてくる。

「カバンの中、見せなさい!!」

中野で買った私の斜めかけバックと、先輩・同期のバックの中身を思いっきり確認された。
犯罪の臭いがするような、たいしたモノが入っているわけもなく、すぐに解放された。

近くには、黄色いタンクトップに拡散されたヘアーをお持ちのライオン以上に危険(見た目が)なお方がたくさんいましたが、
そちらには全く眼中なく、なぜ、私たちだけにお巡りさんがお声かけくださるのでしょう?

…数日後。同期から、こんな話を聞きました。

「あの後、なんでオレたちが取り調べ受けたか、気になって調べてみたんだけど…シンナーをやっていると歯がボロボロになって、口の中の気持ち悪さを紛らわすためにチュッパチャパスを舐め続けるっていうのが、シンナー愛好者の中で流行ってるらしいよ!だから、3人共シンナーやってると勘違いされたんじゃないかな?」

なるほど。シンナー。
チュッパチャパスを舐めているだけで、シンナー愛好者と間違われるこのご時世。

思えば、人情を噛み締めるガム派になったのは、この時からかもしれない。

 

本日のアトオシとは
「ロゴマークを軸とした展開。」が特長のグラフィックデザイナー永井弘人による、「日常とデザインを拡げる雑文集。」日本タイポグラフィ協会正会員。年鑑ベストワーク賞受賞。著書「デザイナーになる。」(MdN)執筆・出版。
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