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ブリーフ隊。H & S。

大学生1年の時。入っていたテニスサークルの夏合宿。

学年ごとの出し物で、「ブリーフ隊」という企画があった。
20人ほどの男全員がブリーフをはき、武富士CMのダンスを踊る。
とはいっても、そんなことをやりたくない(モテたい)男子も当然いて、
しかたなしに、「H班」と「S班」に別れた。

H班は、ハード班。
S班は、ソフト班。
ハードは全裸にブリーフをはく。
ソフトはTシャツにブリーフをはく。

布地の多さから、見え方の統一が図れず、ダンスもバラバラだった。
気持ちが一つにまとまっていなかったのである。
結果、すべった。たくさんの女子が見ている前で、大すべりである。

くやしかった。本当にくやしかった。
笑わしていっているのに、すべる。しかも、半シモネタ。
大学に入った直後のボクらにはイタすぎた。

時は流れ、大学4年。
酸いも甘いも経験し、同学年男子全員の気持ちは1つになっていた。
夏合宿。

リベンジしよう。ブリーフ隊を。
ボクらに一切の迷いはなかった。
ブリーフ隊リーダーと隊員の会話。

今回も、「H班」と「S班」をつくろう。

おいおい、何言ってんだ。オレらはもう一丸となってんだぞ。
ソフト班なんかいらねーだろう! そうだ! そうだ!

ちがう。

Hは、ハード。
Sは、スーパーハード、だ。

そう、スーパーハード。
ハードは全裸にブリーフをはく。
スーパーハードは “全裸” だ。

正確に言うと、全員が武富士CMダンスをしながら、
H班がブリーフを浮かせて持ち、S班の秘部を隠し続ける。
非常に難易度の高い技。そして、危険だ。

リベンジをするからには、同じことをやって克服しても意味はない。
倍以上のことをやるんだ。練習に練習を重ね、本番。

秘部を隠しながらの登場。
会場がざわつく。しかし、期待感にあふれたざわめきだ。
いくぜ。レッツダンス!

……CM曲が終わる。
少しの静けさ。完璧だ。
完璧だ。完璧だ。完璧だ。

ウッワァー!!!!!
ボクらは喜びの雄叫びをあげ、ハイタッチしながら退場した。
出し物が終わり、同学年の女子に感想を聞く。

面白かったよ!
ダンスもうまかったよ!
笑えたwww!

嬉しい。笑わせにいって、笑ってくれる。
エクスタシーに近い快感だ。

あ、でも何回か見えてたよ。
ちんこ。

こうして、ボクたちの青春は、今も続いている。
確実に。

 
 

本日のアトオシとは
「ロゴマークを軸とした展開。」が特長のグラフィックデザイナー永井弘人による、「日常とデザインを拡げる雑文集。」日本タイポグラフィ協会正会員。年鑑ベストワーク賞受賞。著書「デザイナーになる。」(MdN)執筆・出版。
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